■推測の範囲内
ネットで検索した「聖人名リスト」の1ページに,
Chlodulph, Bishop of Metz
という文字列を見つけ,心を惹かれた。
彼の名は Chlodulf, Chlodolf あるいは Chlodulphe とも綴られるらしい。Chlodulphe はフランス語的な綴りのようだ。
Chlodulph は恐らくゲルマン語源の「二要素語名」(二つの要素を連結して構成して造った名前)であり,chlod-ulph と分解されるはずで,語意は loud-wolf であろう。
前半要素が Clovis (♂),Clotilda (♀),Louis (♂) 等の前半,
後半要素が Adolphus (♂), Rudolf (♂), Arnulf (♂) 等の後半と同系の言葉に由来しそうに見えるからだ。
その「綴りの見た目による推定」が,もし妥当なものなら――そしてChlodulph が Louis (♂) のように近代まで継続して使われていたとすれば,現代的なドイツ語綴りでは Ludolf あたりに変化したはずだ。
(Louis (♂) のドイツ語形は Ludwig (♂) である)
しかし『独和大辞典』によると Ludolf (♂) の前半要素は「people」の語意らしい。この語意なら, Luitpold (♂) や Leopold (♂) の前半と同系列の要素ということになるが……
Cholodulph が綴りや発音の類似により,歴史のどこかで Ludolf (♂) に統合されて消滅したかもしれない……と,妄想が広がる。
ところで完全にネット依存の情報で,自力で調査していないのだが,St. Chlodulph の兄の名は Ansegisil というらしい。
これは多分 Anse-gisil 。前半が Anselm (♂) の前半要素,後半が Gilbert (♂) の前半要素と同系等に違いない。語意は god-pledge ,「神(と)の誓約」とでも意訳できそうなカッコ良い名だ。
ただ,あくまで推測,である。辞典の裏付けはないので,うっかり信用しないでほしい。
ゲルマン系の二要素語名は結局「順列組み合わせ」だから,ある程度の人名要素が頭に入っていれば語意が推定できるし,それっぽい名前がいくらでも合成できる。
ゲーム用の命名に使うなら真実である必要はない。
例えば Gilbert の要素を逆並べして Bertgisela 等の女性名を造ってみてもいいだろう。
で,カナ読みは「ベルトギーゼラ」とかに設定。
キツい響きだから,ヒロインのライバルの名前にしてみようか。
それとも古代の遺跡を封印した巫女の真実の名で,それが迷宮の罠を解除するキーワードになっているとか……
当サイトはそういう「厨二設定全開の妄想」を楽しむ時に使ってほしい。
[Last update 2009/2/11]
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