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ゲルマンの鷲
Arnold, Arnolf, Arnulf,
Arnbjörn, Arnfried, Arnhilda


 古代ノルド語 arn, 古代ドイツ語 arn 等に由来する,「鷲」の意を持つ人名がいくつかある。多分一番ポピュラーなのは Arnold (♂)だろう。
 古代英語で「鷲」は earn だった。人名表には入れていないが,R&Wの辞典によると Earngeat, Earngyth, Earnwig 等,前半に「鷲」要素を含む人名が存在した。
 最後の Earnwig は eagle-war(rior) の語意だそうだが, Earngeat, Earngyth の後半要素は不明。ただし,Edith (♀)等を見ると,Earngyth は eagle-war の意だと推定できそうである。
 ABC順の表の Ar- あたりに固まっている「鷲」由来の名について,多少付け加えたい。


Arnolf, Arnulf (♂)
 eagle-wulf の意のドイツ語名。聖人名として知られる。この名を持つ聖人は3人いたが,その中でもメス(Metz)の司教だったアルヌルフ(580?-640?)が有名。
 J&S の辞典には Arnolf の綴りで出ているが,『聖人辞典』『マイスター独和辞典』等では Arnulf の綴りしかない。Arnulf の方がより一般的かもしれない。
 フランス語形は Arnolphe (♂) 。また,『固有名詞英語発音辞典』に Arnolfo, Arnulfo の綴りが載っている。これはイタリア語形かスペイン語形に見えるが,確認できない。

Arnbjörn (♂)
 eagle-bear の意のスウェーデン語名。Arnolf, Arnulf と同様,動物要素二段重ねの名。後半要素は Bernard (♂)の前半要素と同系である。

Arnfried (♂)
 eagle-peace の意のドイツ語名。Yahoo で Arnfried を検索するとかなりヒットする。ドイツ語名の -fried は英語だとだいたい fred に対応するので,Arnfred で検索をかけてみたら,また大量にヒットした。もちろん Arnfred が Arnfried の異国語形だ,という保証はないが,なんか素人目には関係ありそうに見える。

Arnhilda (♀)
 J&S の巻末索引にしかない女性名。しかし hild- 要素はゲルマン由来の女性名に非常によく見られ,eagle-battle (war) の語意という説明が間違いなさそうなので表に入れた。
 似通った人名に Swanhild (♀) がある。これは古代ザクセン語で swan-battle の意で,Swanhilda, Swanhilde の変形がある。
 hild- 要素が後半に置かれた場合,h が落ちて -ild, -ilda に化ける例はわりと多い。Estrild, Gunilda, Romilda がその例である。
 クラシックバレエ「コッペリア」に Swanilda という娘が登場するが,前記のような実例から,私には Swanilda が Swanhilda の変形に見える。が,確認できない。


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