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ずっと女神のターン


 人名対照表の体裁を変える修正をしたところ,放置状態の未編集ファイルがあった。
 それは Eutropius のページだ。
『修道士カドフェル』に「ユートロピウス」という人名が登場したので作ってみようと思ったが,語源の語に語意が一杯あって面倒臭くなり,放置して忘れ去ってそのままだった。

 途中まで作ってあって惜しいので,しぶしぶ仕上げにかかった。
 聖人の名として知られる Eutropius は大雑把に言って eu-tropos 。
 音と綴りで見当が付くように,Atropos (アトロポス) はこの tropos と関係がある。
 大雑把に言えば A-tropos,a- はギリシャ語の否定接頭辞である。英語なら not- の意味になる。

 この tropos がまた語意の多い語で鬱陶しいが,語源の印欧祖語まで遡ると,その言葉の語意は to turn だそうだ。

 ギリシャ語 eu- は good, well の意の接頭辞だから,
 eu- + tropos → 「よくターンする」
 a- + tropos → 「ターンしない」
 と,単純に考えても間違いではない。

 脳内に変なイメージが浮かんだ。
 聖人が「いつもより余計に回っております!」と和傘を回す。
 そして「私のターン。運命のハサミを発動。貴方のライフは今ここで 0 となる」という声が響いた。

 私は最近のカードゲームに詳しくないが,「アトロポス」ネタは当然あるだろうと思い,検索してみた。やはりいくつかあるようだ。だが,いまいちイメージに合わない。

 場に3枚くらい札が揃ったら女神が召還され,プレーヤーと融合合体。
 相手にターンを回さず強制終了,実質上「永久に女神のターン」,みたいなのはないのか。
 でもその強制終了を回避する手段がないとゲームにはならないな。
 ハサミに勝つとしたら……『鉄拳』とか?

 墓地に2枚以上の魔法カードがあった場合,デッキからカードを一枚ドロー。そのカードが何であっても『鉄拳』の代わりとして使える。ただし代理にしたカードは封印されゲーム中で二度と使えない。
 デッキ最強カードだったりすると悲惨なことになる。
 ここで諦めてライフ0になるか,低調な戦いをしてジリ貧で負けるか。どうする。以下次号。

 そんな妄想に浸って回り道をしたので,Eutropius のページを作るのに一日かかった。


 ギリシャ語 tropos , trepein (語意 to turn) , trope (語意 turning) 等に由来する現代英語は多い。
 [例] entropie (エントロピー),atropine (アトロピン),tropic (回帰線), tropical (熱帯の)

 それからラテン語でも英語でもある単語に treponema (トレポネーマ菌 /梅毒の原因菌) がある。

[記] 2013/12/6


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