--GR-- (1) [Greek] well-manner(ed) /「良い」-「方法」,「行儀の良い」,「丁寧な」
(2) [Greek] versatile (多才な)
★聖人名
[English] | Eutropius |
[French] | Eutrope |
[Spanish] | Eutropio |
[Latin] | Eutropius |
[聖人] | St. Eutropius の名を持つ聖人が4人存在する |
[Eutropia (♂) の異性形か?]
Eutropia (♀) F.-不明- Eutropius (♂) の女性形に見えるが辞典の資料がない★聖人名 |
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[English] | Eutropia |
[聖人] | St. Eutropia の名を持つ聖人が4人存在する |
■後期ラテン語名 Eutropios に由来する。
この名はギリシャ語 eu- と tropos を含んだ名と考えられている。
eu- は good, well の意。
tropos は way, manner, turn, direction 等,色々な意味を持つ。
二つの要素を総合して good-manner 「良い方法」とか well-mannered 「行儀の良い」等の意味の名だと解釈されている。
■一方,ギリシャ語 eutropos (語意 versatile) から直接派生した可能性も考えられている。
英語 versatile には,「多才な,多方面に向く,多用途の,万能の,融通のきく」「変わりやすい,気まぐれな」という意味がある。
▼ギリシャ語 tropos は,ギリシャ語 trepein (語意 to turn) ,trope (語意 turning) と同じ印欧祖語に由来していて,その語の意は
to turn だった。つまり大元は turn の意。
eu- + tropos の成り立ちのギリシャ語 eutropos が,なぜ「多才」の意味になったのか説明してある資料を見つけられないので,とりあえず妄想すれば――
「良く回る,良く変わる→(状況に応じて)変化できる→多才」あたりかもしれない。
▼ ギリシャ語 tropos と関係のある名として,他に Atropos (アトロポス) がある。運命の三女神の一人で,人間の寿命の糸を切る役割を持っている。これは大雑把に
A-tropos と分解できる。
A- はギリシャ語の「否定を表す接頭辞」。
アトロポスの名が「不可避のもの」「曲がらないもの」等とさまざまに訳されるのは,tropos 部分の解釈が訳者によって違うからだ。
アトロポス女神の役割から,「切る者」だと解釈される時もあるが,語源的には cut の意味はないと思われる。
▼St. Eutropius (聖ユートロピウス) と呼ばれる聖人は何人かいるが,フランスでは Eutrope de Saintes (英語表記で
Saint Eutropius of Saintes) が有名らしい。南フランスに Basilique Saint Eutrope de Saintes
(サン=トゥトロップ教会) がある。
グーグルマップで Basilique Saint Eutrope de Saintes, Rue Saint-Eutrope, Saintes,
France と入れて検索→最大拡大表示に変更→ストリートビューの人形アイコンを教会付近の青い●に持って行くと,観光した気分になれる。(上と下と2箇所ある)
▼Saint Eutrope はグーグルマップのカナ表記で「サン=トゥトロップ」になっている。また発音サイト Forvo に「サントォト(ル)ップ」あたりに聞こえるデータがあった。
▼英語形 Eurtopius は現在,一般に使用される名前ではなさそうだ。H&H はスペイン語形 Eutropio で項目を立てている。
▼Eutropos で検索をかけると「ギリシャの男子名」だと書いてある命名サイトがある。ありそうな話ではあるが真偽不明。
[カナ表記/原語でのアクセント位置参考]
Eutrope (♂)
[発音近似カナ/French] オートロープ
Eutropius (♂)
[カナ/(慣) 歴史人名] エウトロピウス
[発音近似カナ/English] ユートローピャス
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