■ロサ・イワラ [Rosa × Iwara] (Misc)-----[撮影] 2022年5月3日,都立神代植物公園
原種交雑種。ノイバラ (Rosa multiflora) とハマナシ (Rosa rugosa) の自然交雑と考えられている。和名はコハマナシ。
神代植物公園のネームプレートでは「日本原産」。
ノイバラとハマナシはどちらも日本原生のノバラなので,交雑したのも日本だろう……という考えだと思われる。
上の画像はかなり大きく写してしまったが,径4cmくらいの小さな花。
開きかけの花 (2022.5.3撮影/551KB)はピンクが強いが,次第に淡くなる。
花びらが長細く,はかなげな感じがする。しかし花の清楚さに反して,トゲの多さが剛毅な印象である。
花とトゲの茎 (2001年5月撮影/52KB)
『花図鑑 薔薇』によれば1830年以前から栽培されているとの事。1830年は江戸時代後期で,年号は「天保元年」。
どの国で誰が栽培していたのかは不明。
もし日本で1830年以前に栽培されていたなら,そのバラに水やりをしていたのはちょんまげ姿の男性か,日本髪の女性だったはず。
でも結構高位の人物が関わらないと記録には残らないような気がする。
たとえばロサ・イワラを盆栽に仕立てて殿様に献上した園芸業者が褒美をもらったとか。
しかし後日,若殿様がトゲでケガをして敗血症で死んだので園芸業者が打ち首になったとか。
妄想が始まる。
博物学者のシーボルトは出島に植物園を作っているが,彼の収集品の中にロサ・イワラの名があった記録でも残っていたのだろうか?
この植物園は「異国船打払令」が発令された1825年に出来たらしい。1828年には「シーボルト事件」(シーボルトが禁制品を帰国の際に持ち去ろうとして捕まった)が起きている。スパイ容疑をかけられたシーボルトの行状はそれはもう詳細に調べつくされたはずで,収集品リストなどが記録に残った可能性はあるかもしれない……
『花図鑑 薔薇』の巻末に載っている参考文献を全部当たる根性は……ないな。
半分以上が英語の書籍だから。
[交配親] R. multiflora × R. rugosa
[花] 明るいピンク色,径3~5cm,一重咲き。白,白にピンクの覆輪など,変化があるらしいが,神代植物公園の花はピンクである。
[別名] コハマナシ (小浜梨)
[神代植物公園での花期] かなり早い。2022年は5月5日時点でかなりの数の花が咲いていた。
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