■フィデリオ[Fidélio] (F)-----[作出] 1964年,フランス [撮影] 2001年5月,都立神代植物公園
赤に見えたり,紅に見えたり,朱赤に見えたりする花。光線の加減や開花時期で,かなり違った見え方をするような気がする。『ばら花図譜』では「朱紅色」と書いてある。
このバラは多分,スペインを舞台とするオペラ「フィデリオ」の主人公の名を取っているだろう。オペラのあらすじ解説を読んだところでは,無実の罪で幽閉された夫を救うため,妻が男装して牢に潜入する話らしい。夫婦愛を貫く彼女が名乗る男子名が「フィデリオ」なのである。
Fidelio は人名辞典によればイタリア語名だが,スペインでも名前として使われることがあったかもしれない。
Fidelio の語源はラテン語 fidēlis 。羅和辞典では「信頼すべき,真実の,確固たる」の意と出ている。
イギリスで出た人名辞典は Fidelis という名前の意味を faithful と解説しているから,「忠実な,貞節な」という意味も含むのだろう。おそらくオペラのフィデリオは,人名の語意をふまえての命名だと思われる。
[作出] 1964年フランス,メイアン (A. Meilland)
[交配親] (Radar × Caprice) × Fire King
[花] 朱紅色,径13cm,丸弁高芯咲き
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