■お呼びとあらば即参上~記憶の彼方~ ---[記録] 2015/11/8
『王様の仕立て屋(サルトリア・ナポレターナ)』の10巻を買って読んでいたら,56ページの
「お呼びとあらば即参上!」
に盛大に噴いてしまった。
銀河旋風ブライガー懐かしい……が,大昔に一度見ただけなので,ストーリー等は全て忘れた。
当時は楽しく見ていたのだが,現在覚えているのは――
「キャラデザがあからさまに『旧ルパン3世』オマージュだった」
「突然のベッドシーンに驚愕した」
「キッドの私服が赤と白の横じまポロシャツでダサかった」
「化粧のケバいカーメンという敵役が登場すると変な歌が流れるので笑った」
「そのテーマソングはいい曲ではあるがやっつけ仕事的なメロディだった」
――等,極度に断片的なものだ。
お呼びとあらば即参上,とはOPテーマの冒頭で毎回毎回流れたナレーションだったので,さすがに記憶に刻まれたらしい。
この口上,ブライガーより前に元ネタがあるはずと検索してみたが,どうもそれ以前の例が出て来ない。
歌舞伎とか時代劇のセリフにありそうだと思ったのだが……ネット検索程度では調べ切れていないのかもしれない。
でも,「即」を名詞に冠して,つまり接頭辞的に使うのは,考えてみるとここ30年くらいの口語という気もする。
「即死」,「即日」,「即決」等も「死」や「日」や「決」という名詞に「即」がついている状態ではある。
しかし「二文字の熟語で,読みは三文字か四文字」の言葉に「即」がついた言葉は,手持ちの小辞林では「即物的」しか見つけられなかった。
即参上,はとてもリズムが良い。そく・さん・じょう。三拍子だ。このリズムは「即物的」にはない。
もしかすると,この妙に軽快軽薄なリズムの「即・○・○」はブライガーのOPナレーションが源かもしれないという気がしてきた。
即○○,にすると全てが軽くなる。ギャグ的なスピード感に溢れる。
たとえば即時撤退(そく・じ・てっ・たい),だと「壊滅的危機に瀕した軍隊の深刻な行動」に聞こえるが,即撤退(そく・てっ・たい)だと「浮気がバレたチンピラが激怒した女を物陰から見止め,見つからないうちに尻に帆かけて逃げていく」みたいな感じがする。
ブライガーの「即参上」の場合,真面目な謙譲語の「参上」に「即-」の軽薄なスピード感が加味され,面白味が出ていると思う。
そして「およびとあらば そくさんじょう」は七五調。
また今気がついたがOPテーマの前奏,歌い出しは「三本締め」のリズムが根底にありそう。
七五調で終わるナレーション,三本締め的なリズムが含まれる曲を聞いて,昔の私は喜んでいたんだな。
骨の髄まで日本人なのかもしれない。
ところで「参上」に似た言葉として「推参」があり,「即推参」というのもあるかもしれない……と思って検索したら存在した。
参上と推参ってどう違うんだっけ,と今更ながら辞書を引いたら「自分のほうから訪問すること」(小辞林)とあった。
「呼ばれてもいないのに勝手に行く」のが推参らしい。
(推参と「即-」の軽薄感のブレンドだと,DQNな押しかけムードがさらに高まるから,正義の味方が使うと笑いが取れそう。
で,検索してみたらどうも2014年頃のラノベにあったらしい。)
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