奇妙な黄昏/過去ログ

テルマエ・ロマエの笑い-----[記録] 2012/1/15

 去年の年末頃,「テルマエ・ロマエ」の存在を知り,単行本4冊を定価で購入して(力説),読んでみた。
 すごく面白かった。

 真冬以外は「ガス代節約のために浴槽の水を全部沸かさないで上の方だけ掬い取って使う」といった貧しい生活なのに,漫画を購入する金は惜しまないのだから,我ながら呆れるが,このオタク的経済観念は多分死ぬまで直りそうもない。

 一番笑ったのが「ティンティナブラム」の回だった。
 20年以上前,(確か)「世界風俗史(河出文庫)」の図版を見てアレを知って,大いにヒいた。正式名称まで覚えなかったものの,映像情報はしっかりと記憶に残った。その記憶に漫画で再会するとは思わなかった。

 次に笑ったのが「月見温泉」のエピソードだった。金閣寺と「どすえ」にも笑ったが,「ローマの浴場の庭の遠景に鹿の置物がある」ところで笑えた。
 あれは「ディアナ(アルテミス)とアクタイオン」の神話を踏まえているから,浴場の客がディアナの背中しか見られないのには意味があるのだ。(アクタイオンはディアナの水浴びを覗き見てしまい,ディアナの怒りによって鹿に変化させられた。そして自分の猟犬に食い殺された)

 顧客の非常識を神話で軌道修正したルシウスは偉い! という話にするため,「巨乳で下品すぎるディアナ像(後ろ向きに配置するしかない)」の前フリを置いたわけか,と感心してしまった。

 4巻は1~3巻とは別のファンタジーなので,そのあたりが不評のようだが,「異世界で出会った人間と恋に落ちる」のも「タイムトラベラーが自分の時代に戻れなくなる」のも,昔からのお約束ネタなので,特に違和感はなかった。
 そして話がどう転ぶかには興味があるが,どういう結末でも特に気にしないで読む予定だ。


黄昏のポプリ

奇妙なポプリ

Copyright (C) 2012-2022 S. Sonohara, All rights reserved.