TWILIGHT ROSE

アクセントの問題

 作曲して詞を乗せる場合,可能な限りアクセントとメロディを合わせている。
 TWILIGHT ROSE にあるポエム(笑)は詩としては最低辺だが,歌詞としては結構良いものなのだ。90パーセント以上アクセントとメロディが一致している。(ただし東京アクセントで)

 詩としても優れていて,歌詞としても最高……みたいなものをいつの日が作りたいものだが,まぁ,無理だろうな。

 日本語には「下降タイプ」が少なく,「平板(上昇)タイプ」が多い。しかし,「上がりっぱなしのメロディ」で曲を作るのは難しい。大半の曲はメロディラインが上がり下がりするのが普通だ。
 だから,神経を使わないで詩にメロディをつけると,五割くらいの部分が「言葉のアクセントと合っていない」状態になる。

「同音のアクセント違いの語」がなければ,「平板タイプ」を「下降するメロディ」につけても,ある程度は大丈夫だ。しかし「アクセントで意味が変わる言葉」に,違うアクセントのメロディをつけてしまうと,非常に間抜けな状態になる。

 例えばアニメ「ベルサイユのばら」のオープニングテーマの最後の部分。「ばら」の語が4回くらい登場し,「咲く」と「散る」とセットで詞になっている。
 しかしメロディが「ら」――「ば」が高く,「ら」が低い状態である。だから,花の「ばら」よりバラ肉の「バラ」を連想してしまう。
 そして「散る」とセットなものだから,ほとんど「バラ肉が散るイメージ」だった。

「小節の最初の音から下がりっぱなしのメロディ」に「下降調の言葉」を乗せるのは大変だ。下降タイプの言葉の絶対数が少ないからだ。
 しかし一人で作詞作曲している時は,小技で解決できる。直前の小節の最後に,一つか二つ音を入れる。そして小節をまたいで歌詞をつける。つまり,

「ミレド♯レーー | ミレド♯レーー」→下降タイプの言葉を二つ捜さなくてはならない。
「ミレド♯レーラ | ミレド♯レーー」→2音めにアクセントのある言葉も使える。選択の幅が広がる。

 その小技を使いながら,結構苦労してメロディに歌詞を乗せている。


 ところで,地方によっては花のバラがらな所もあるかもしれない。
 昔,南多摩の駅で電車を待っていたら,「きが~」という声が聞こえた。女の人の名前かな,と思っていたら,空から降る「雪」の話をしていた。多摩人の私は非常に驚いた。東京多摩のアクセントで空から降る雪は「ゆ」だから。

[記] 2007.10.29


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黄昏のポプリ

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