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Aylwin

 古英語由来のニ要素語名。分割位置は ayl-win で,後半要素は古英語 wine (語意 friend) である。しかし前半は研究家によってまちまちで,æðel (語意 noble) か ælf (語意 elf) のどちらか片方,または両方を語源とする説があり,はっきりしない。
 ノルマン・コンクェスト以後の11世紀の古記録に Adeluin, Ailuin, Æluuin, Aluuin(e) 等として記載されており,Alwin, Aylwin, Elwin 等の姓名を派生させた。
 しかしそれほど人気があって多用されたわけでもなく,近年の使用はセオドア・ウォッツ=ダントン (Theodore Watts-Dunton, 1832-1914) の小説『Aylwin (エイルウィン/1898出版)』の影響らしい。

 この小説は「ベストセラーで映画化もされ,夏目漱石が明治32年8月10日の『ホトトギス』紙上で絶賛した純愛物語」とのこと。
 でも,アマゾンの紹介文を読んでいると,「一体どこのラノベだよ」とツッコミを入れたいあらすじと設定だった。宣伝文句をできる限り軽くして読者のウケを狙う作戦なのかもしれない。

 ところで夏目漱石は (1867-1916)の人だ。明治32年は西暦で1899年,漱石は32歳。
 そして,当時の漱石は英語教師兼俳人に過ぎず,作家ではないのだ。
 有名な『我輩は猫である』は1905年発表である。

 ネット情報を信用すると,当時漱石は熊本住まいだが,どうやって小説 Aylwin を入手したんだろう?
 船便で輸入された原書を地方配送してもらったのか?
 英語関係の知り合いから貸してもらったのか?
 118年前の流通事情は見当もつかない。

 2018年の現在はアマゾンで日本語訳が買える。ネット通販は便利だ。
 しかし Aylwin free online novel で検索したところ,原文はネット上で読めるようだ。

[記: 2018/01/07]


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