神代植物公園の花

テイカカズラ [Trachelospermum asiaticum] キョウチクトウ科/テイカカズラ属---[撮影] 2001年5月上旬,都立神代植物公園

テイカカズラ(2002年5月末)

 漢字では「定家葛」。山野に生える植物だが,栽培もされる。
 2002年5月には「花壇」のあたりで見たが,毎年栽培されているかどうかは不明。
 白い花は直径2センチほどで,甘い香りがする。咲いてから日が経つと白からクリーム色に変化していく。

 歌人の藤原定家に因む植物名と言われている。「定家」の名がついた理由についての由来話も何種類かあるらしい。その一つに「藤原定家が式子内親王(後白河帝皇女)に思いを寄せて悲恋に終わった」という伝説がある。

 式子内親王は出家して世を去り,40年後に定家も死ぬ。しかし定家の死後,内親王の墓(塚)が不思議なつる草で覆われた。人々は定家の執着が草に変じたと思い,「定家葛」と名づけたという。この話を題材に,謡曲「定家」(古名は「定家葛」,金春禅竹作)が作られたとされている。

 しかし,悲恋話自体さえ,史実ではないらしい。
 定家は勝手にストーカー男に脚色されたわけで……ちょっと気の毒である。

 隣接して葬られた恋人たちの墓からつる草が伸び,お互いの墓に絡んだ……という伝説は西欧にも存在する。土葬が主流だった時代,そのような実例は有り得ただろうし,それが美しく伝えられて物語のピースになったのだろう。


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Last update 2008.4.29