■渋い顔の石像---[撮影] 2022年4月29日,都立神代植物公園
公園入り口付近の花壇にある石像。裸婦像というべきか。昔から見るたびに思っていた。
凄く楽しくなさそうな顔だなと。
いや,楽しくないどころの騒ぎではなく,苦痛や悲嘆をたたえた顔である。
(上の画像をクリックすると顔のアップの画像になります。)
この像は少なくとも昭和42年頃にはここにあった (古い写真があるので確実)。→正門近くの花壇(2001年)
もしかすると開園当初も存在したかもしれない。
しかし綺麗な花を見ようと来園した人々を迎えるにしては,愛想なさすぎじゃないだろうか。
この像の周囲はいつも綺麗な花が植えこまれているが,像の表情がその彩りを帳消しにする勢いでネガティブなので,見ると気分が沈む。レジャー気分を壊さないためには,直視しないほうが良いと思う。
よくこんな苦虫を噛みつぶしたような顔の像を正面入り口に配したもんだな。
誰がこの像を置くことに決めたんだ。
私が公園開設の運営委員長だったら,この像は一目で返品しただろう。
縁故採用で返品できない裏事情でもあったのか。
もしこの像が公園のオブジェとして注文されて造られたものなら,製作時期は60年前か。
モデルは当時少なくとも15歳以上だろう。となると2022年現在は75歳以上だ。
60年前の裸婦モデルは貧乏だったり学がなくてろくな職業につけなかったりする女性が比較的高給を取れる仕事だった……とか,時代的な背景でもあったのだろうか。
昭和36年に15歳だったと仮定すると出生は昭和21年。15歳以上なら出生は戦時中か戦前になる。
戦争で家族を亡くし,戦後の混乱期に幼少期を過ごして,教育もあまり受けられず中学卒業で社会に出て,困窮生活から抜け出すために裸を売ることにしました系の薄幸な女性なのか。
そして髪型が妙に適当なショートなので,夫と死に別れた若妻が「断髪」した感じにも見える。
彼女は専業主婦だったので未亡人になってたちまち生活に困って裸を……
……とか色々妄想しだしてしまい,花を見て心を癒そうとしている気分が雲散霧消する石像だ。
まあ,特にそんな悲惨な物語はないかもしれない。
モデルをしながら「ちっ,腕が疲れたわ。早く終わらせろよ。いつまでかかってんだ。あー腹へった。終わったら飲みに行って牛肉食ってやる」などと思っていただけかもしれない。
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Last update 2022.4.30